アーキテクチャを考慮して開発したプロジェクトでは、下記のような恩恵を受けることができます。
拡張性と保守性
再利用性を考慮したモジュール(※1)の開発や業務ロジックとフロントエンドの適切な分離を行うことで、拡張性や保守性の向上が期待できます。
作成したアプリケーションに拡張や改修が予測される場合は、将来のメンテナンスに大きく影響します。
外部システムとのデータ連携
大規模なアプリケーションでは、 外部システムのデータベースと連携し大量のデータを扱う必要が生じることがあります。このようなケースにおけるデータの効率的な管理に大きく影響します。
パフォーマンスとセキュリティ
大規模なシステムであるほどパフォーマンスやセキュリティが重要になります。拡張性や保守性と同様に、適切なアーキテクチャはパフォーマンスの最適化とセキュリティの確保を容易にします。
Webアプリケーション開発における適切なアーキテクチャの一つに、フロントエンドとバックエンドを分離する手法があります。フロントエンドとバックエンドの分離とは、Webページなどのユーザーが直接操作するフロントエンドと、サーバーサイドやデータベースなどのバックエンドをそれぞれ独立して開発することです。
開発業務の効率化
並列開発
フロントエンドとバックエンドが独立しているため、並行開発が可能になります。フロントエンド開発者はバックエンドの実装を待たずにUIを作成でき、バックエンド開発者は業務ロジックやモジュールの開発に専念できます。
再利用
フロントエンドに依存しない業務ロジックやモジュールの作成が可能になります。これにより、異なるアプリケーション間でも再利用が容易になります。
ユーザーエクスペリエンス(以降、UX)とセキュリティの向上
データ通信
データベースとの通信はバックエンドが担当するため、フロントエンドから直接アクセスすることがなくなります。これにより、セキュリティリスクが低減されます。また、フロントエンドが直接データベース通信を行わないため、より迅速で効率的な処理が可能となりUXの向上にもつながります。
保守性の向上
疎結合
フロントエンドとバックエンドは互いに依存しないため、それぞれが独立して動作します。このため、バックエンドに変更を加えても、フロントエンドへの影響を最小限に抑えることができます。
テスト
変更による影響範囲を限定することで効率的なテストを可能にします。
フロントエンド
ユーザーインターフェース(以降、UI)やUIロジック、ページ上でのデータ描画などを扱います。ユーザーが直接操作するボタンやユーザー操作による動的な画面の動き、リストビューなどのデータ描画を実装します。
バックエンド
業務ロジックやインターフェース、モジュール(※1)などを扱います。幅広い業務要件に対応する業務ロジックや、多様なビジネスシナリオに最適化されたインターフェースをモジュール(※1)にまとめ、それらモジュール(※1)間の流れや処理ロジックを実装します 。さらに、データ処理、データベース通信、外部システム連携なども扱います。
データベース
バックエンドの一部としてデータの保存・管理を行います。フロントエンドとバックエンドが分離されている場合、データベース通信はバックエンドが担当し、フロントエンドは直接データベースと通信しません。
※1 モジュールとは、機能要件を満たすための処理の集まりを指します。